「当たり前の生活」にはお金が必要

私が通っていた高校では、事前に届け出ていればアルバイトが許可されていました。ただ、届け出れば誰でもOKしてもらえるかというと答えは当然「NO」で、補習の対象になっていない事も条件でした。

進んでバイトしたがるのは、何かと交遊関係が広く遊び歩いているギャル系の女子が多かったのですが、もちろん例外もありました。3年間同じクラスだったYさんです。
小学校からの同級生だという友人いわく、Yさんのご両親は自営業だったものの、不況と都市開発による大型チェーン店の相次ぐ出店で大赤字となり、借金を重ねていたのだそうです。
Yさんが高校に進んでからそれが顕著となり、彼女もアルバイトをして生活費を稼いでいたのです。成績は常にトップだった事と、家庭事情を考慮して、アルバイトの許可が下りたのでしょう。

20161206

2年生の冬、それまで皆勤だったYさんが急に欠席しました。担任は「ご親族に不幸があった」とだけ説明していましたが、実際にはお父さんが借金苦を理由に首を吊ったのだと、後から知りました。
周囲では「お店の売上に貢献しよう」という雰囲気が生まれつつあったのですが、それからほどなくしてYさんは退学、お店も廃業してしまいました。それ以降、Yさん親子は消息不明に……。

あれから「Yさん一家は自己破産して、今はお母さんの実家でひっそり暮らしている」とか「Yさんはお母さんに楽をさせるために風俗嬢として稼ぎ始めた」とか噂が出たのですが、真相はわかりません。
私はあのまま普通に高校を卒業し、大学に通い、今は社会人として働いています。これまで苦労してきた事といえば、大学卒業前の卒論と就活くらい。
だけどYさんは、高校生の頃から社会の厳しさを知っていたのだと思います。両親の借金、自営業の難しさ、お金がなければ生活できないという事を……。

今でこそ当たり前のように生活できているけど、その「当たり前」を維持できないほど追い詰められている人もいます。平等って何でしょうか? 今は日本でも貧富の差が拡大していると言われています。私も他人事じゃなくなるかもしれません。